Determination of the Anomeric Configulation of the New Dialdose Dianhydride Peracetate
著者
藤原 剛
(Fujiwara tsuyoshi)
教養部
版
publisher
出版地
奈良
出版者
奈良大学
上位タイトル
奈良大学紀要
(Memoirs of the Nara University).
Vol.7号,
(1978.
12)
,p.161-
166
識別番号
ISSN
03892204
抄録
糖化学において糖残基間または,糖残基とアグリコンとの結合様式がa型,β型のいずれであるかを決定することは極めて重要な事であり,さまざまな方法が用いられて来た.そのうちでも旋光度測定による方法,特異性の高い酵素を用いる方法, NMRによる方法などが一般的である.旋光度測定による場合単糖類ではほぼ確実に決定しうるが,二糖類以上ではデータの解析が困難である.酵素法は必らずしも希望する特異性をもつ酵素が得られるとは限らない事,また,分解が起らなかった場合でも,その構造をもたないと断定できないという欠点がある.NMRの場合試料が多量に必要であること,2位のプロトンが equatorial に配向している場合にはa,βが決定できないという欠点をもつ.ところで重クロム酸塩,クロム酸塩,無水クロム酸,塩化クロミルなどは強力な酸化剤として古くから知られている.この酸化剤によって第1級アルコールはアルデヒドをへてカルボン酸を生じ,第2級アルコールはケトンを生じ,第3級アルコールでは脱水につづいてC-C結合の開裂が起る.この場合立体効果があることが知られており,特に脂環族第2級アルコールの酸化ではいちじるしく,ステロイド類でよく研究されて来た.この場合 axial 方向に水酸基をもつアルコールは equatorial 方向に水酸基をもつ異性体よりはるかに酸化されやすい. Angyal and James は無水クロム酸(CrO3)が酢酸中では完全アセチル化されたヘキソピラノシドを酸化するが,この際アグリコンが equatorial 位にある時は速やかに酸化して5一ヘキスロソン酸を与えるがaxia1位にある時はほとんど酸化せず,フラノシドの場合は急速に酸化して4一ヘキスロソン酸を与えることを明らかにした. Hoffman et al はAngyal and James の方法を微量化し完全アセチル体の配向決定に利用できることを示した.この方法は試料が少なくても良いことや単一の試薬でほとんどすべての試料に適用できるなど利点が多い.本論文では本法の検討を行ない,先に発表した新しいジアルドースジアンヒドリドの anomeric 水酸基の配向の決定を行った.