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ID AN00181569-19791200-1002
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タイトル 古代染色の化学的研究: 第9報 古代緑染について
別タイトル
Chemical Studies on Ancient Dyeing IX. On the green dyeing of Ancient
著者
新井 清 (Arai kiyoshi)
文学部
publisher
出版地 奈良
出版者 奈良大学
上位タイトル
奈良大学紀要 (Memoirs of the Nara University). Vol.8号, (1979. 12) ,p.20- 35
識別番号
ISSN
03892204
抄録 古代から人類は緑色を染めるのに,青色染料と黄色染料の交染によって,その目的を達した.青色染料はWoadの名を持つ Isatistinctoria とIndigo に代表される.黄色染料としては Safflower (Carthamustinctorius), Saffron (Crocussativus) および turmeria (Curcumalonga) が古代エジプトや近東文明国で用いられ,古代インカ帝国ではTara, Berberis, Chilca および Molle の4種の黄色天然染料が実証されている.有名なSaxon Green は Woad と野生モクセイ草 Wied Mignonette (Resedaluteola) の交染によって得られ,中世紀の Robin Hood と Sherwood の森を象徴する.ひるがえって,古代中国では蓼藍 (Polygonum tinctoria Lonr.) によって青色を得,黄色染料として用いられたのは藤黄 (Garcinia hanburyi, Hook) 全糸糸桃科 Hypericaceae の熱帯植物で樹幹より分泌する樹脂を染料とした.原産地はインド,シャムおよびカンボヂヤ地方であって,古代印度が緑染の発祥地であろう.ついで黄藁 (Phellodendron amurense Ruhtecht) と楯子 (Gardenia jasminoides Ellis) の記載がある.わが国で上代に緑染に用いられた黄色染料は黄藁と刈安であって,藍との交染の技術は中国から将来されたと見なされる.古代緑染の手法を記録した文書は奈良朝期は未見であり,平安初期の「延喜式」に緑染の記録がある.巻十四,綴殿寮雑染用度であり,記紀,万葉および「績日本紀」の中に表現されている色相の濃度である「深」「淺」をもって示されており,奈良朝期の染色法をも踏襲していると考えて既往の研究を行なった.藍染のみの表現は繧(はなだ)色で示され,藍色は黄藥による黄味づけの青である.緑染は藍と刈安の交染によって「深緑」を得ており,藍と黄醸の交染で「中緑」「浅緑」を得た.これらの交染において藍を先に染めるか,後に重ね染を行うかは記されていない.古代エジプトでは交染の場合に藍で先染して他の染料で後染した記録が明らかにされている.「延喜式」に「青浅緑糸系一絢.黄浅緑糸系亦同.藍小半園黄藁八爾」の記事がある.これは同一材料の同量を用いて青浅緑と黄浅緑の色相の異なった染物を得ている.このことは藍を先きに染めるか,後に染めるかによる相違を示すものである.また交染に用いる黄蘂は媒染剤を用いないが,刈安は交染においても使用されている.黄藤の水溶性成分(染着因子)中に多糖類の存在を確認しているが,産地によって多糖類の成分に大差のあることを見出しており,緑染の研究に際してこれらの疑問点を明白にすることを目的とした.
言語
jpn
資源タイプ text
ジャンル Departmental Bulletin Paper
Index
/ Public / 奈良大学紀要 / 8号
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