奈良大学紀要
(Memoirs of the Nara University).
Vol.41号,
(2013.
03)
,p.1-
11
識別番号
ISSN
03892204
抄録
Ernest Hemingwayの短編、‘Cat in the Rain’は文学、語学双方で様々な観点から分析されてきたが、その論点のひとつに、「雨のなかテーブルの下にうずくまっていた猫」と最後にメイドがもってきた「大きな三毛猫」が同じ猫であるか否かの問題がある。本稿では三毛猫の生理学的特徴を考えることでその議論に新しい視座をもたらすとともに、関連性理論の知見のひとつ、推意の強弱という概念を援用することで猫の同定にかかわるテクスト解釈にも示唆するところがあることを考察するものである。