Historical Philosophy of De Civitate Dei of St. Augnstinus
著者
小田 丙午郎
(Oda heigoro)
文学部
版
Publisher
出版地
奈良
出版者
奈良大学
上位タイトル
奈良大学紀要
(Memoirs of the Nara University).
Vol.1号,
(1972.
12)
,p.77-
86
識別番号
ISSN
03892204
抄録
アウレリウス==アウグスティヌス(Aurelius, Augustinus 354-430)は北アフリカのヌミディアの小都市タガステに生れ,32歳の時,カトリック教に回心し,それから10年を経てヒッポの監督となり,以来彼は教会において教化と行政の両面において活動を続け,その生涯を終えた.彼の教化事業について特に注目されているのはその文筆の業績であり,彼が回心してから死に至るまでに,書上げた著書の冊数は約117に及ぶといわれる.それら,いわゆる,等身大の著書のうちで広く人類に愛読されているのは Confessione であり,一方著書の生きた古代の末期から中世にわたつて深い思想的感化を与えたのは所題の De Civitate Dei (精確には De Civitate Dei Contra Paganos)である.
以上の二つの著書で, Confessione は日本語で数人に直接原テキストから訳されているが, De Civitate Dei はイギリス人 J.W.C Wand の City of God が出村彰氏に神の国と題して訳出されているだけである. De Civitate Dei の原テキストからの全訳がない,わが国で,この著の解題を主としたものには三谷隆正の「アウグスティヌス」があり,またカトリックとプロテスタントの信仰に基いた論文としては岩下壮一の「神国論の歴史哲学」と石原謙のアウグスティヌスとキリスト教歴史哲学の成立があげられてよいであろう.