A Study on the Under the Greenwood Tree by Thomas Hardy with special reference to its Dialect and Framework
著者
山田 隆敏
(Yamada takatoshi)
教養部
版
publisher
出版地
奈良
出版者
奈良大学
上位タイトル
奈良大学紀要
(Memoirs of the Nara University).
Vol.17号,
(1989.
03)
,p.1-
18
識別番号
ISSN
03892204
抄録
20世紀最大の作品と絶賛される詩劇TheDynasts(諸王,1903~8)で代表される如く,読書好きな母の影響を受けてか,はやくから詩の創作活動を続けてきたThomas Hardyは,経済的な諸事情も加わり,とりあえず小説家として文壇にデビューすることになった.最初に書き上げた小説The Poor and the Lady (貧乏人と淑女,1867)は単純なPlotでありすぎると,Macmillan社から出版拒否を受ける.つづいてこの原稿を持ち込んだChapman and Ha11 社編集顧問のJohn Morley(1838~1923),George Meredith(1828~1909)の忠告に従って,次作Desperate Remedies(荒療治,1871)を自費出版した.こんどは複雑すぎるPlotであって,意外なる挿話と多分に燗情的場面が多すぎると,読者から予想外の酷評を受ける.勇気をくじかれたが,創作意欲をながく抑えることは出来ず,翌年Under the Greenwood Tree (緑樹の蔭で,1872)を出版する.Timsley社からの匿名出版であったけれども,従来の小説の観念を払拭し彼独自の世界を展開した結果,この作品は好評を得るに至り,事実上の処女作小説となった.